はじめに
スウェーデンにはじめて来られる方、スウェーデンに馴染みがない方のために、スウェーデンの基本的なことを紹介します。
人口、通貨、時差、直行便、言語、あいさつのスウェーデン語、スウェーデン人の気質、国営酒屋、天気、季節ごとの服装、交通、治安など、知識ゼロからスウェーデンやストックホルムのことがひと通りわかるように説明していますので、旅行前にぜひチェックしてみてください。
スウェーデンについて
スウェーデンは北欧に位置する国で、首都はストックホルムです。自然が豊かで、綺麗な湖や森が広がり、冬は寒さが厳しいですが、夏は過ごしやすく涼しい気候が特徴です。(ストックホルムでは)冬は午後3時過ぎには辺りは真っ暗ですが、夏は夜11時でもほんのりと明るいです。
人口は約1,055万人で、福祉国家として知られ、教育や医療が充実しています(医療面のいくつかの問題はここでは割愛)。政治は立憲君主制で、国王が象徴的な役割を果たし、実際の統治は議会と政府が行っています。
文化面では、ノーベル賞授賞式、ABBAの出身国、オーロラ観測地としても有名です。また、Spotify(音楽配信サービス)、Minecraft(ゲーム)、H&M(衣料)もスウェーデンで誕生しました。
また、FIKAと呼ばれている、「コーヒー等を飲み、甘いものをつまみながらお喋りする文化」がスウェーデン人の暮らしに根付いています。ストックホルムには、FIKAにぴったりの素敵なカフェがたくさんあるので、どこに行こうか迷ってしまうほどです。
私から見たスウェーデン人は、穏やかで親切、親しい人以外には自分の感情を露わにしない物静かな人、静かだけれど自分の意見をしっかり持っている人、困っている人に手を差し伸べる優しさがあるけど、頼まれなければ必要以上に他人に介入しない人、電車やサービスの大幅な遅延があっても声を荒げずに黙ってじっと待つ忍耐の人、といった印象です。もちろん様々な性格の人がいますが、全体的な印象は、穏やかで親切なスウェーデン人です。
スウェーデンという国は、自然や穏やかな時間を愛し、日常の小さな喜びに幸せを見出す様な感受性豊かな方とって、居心地が良く安らげる国かもしれません。
日本とスウェーデンの大きさをざっくり比較
スウェーデンと日本の大きさを比較してみました。日本は南北に長い国だと実感します(沖縄が地図に収まっていませんが)。
スウェーデンの面積は、約45万平方キロメートルで日本の面積は約37万平方キロメートルなので、スウェーデンの面積は日本の約1.2倍ですね。
尚、日本の人口は約1億2千万人、スウェーデンの人口は約1,055万人です。
人口
スウェーデンの2023年時点での人口は、約1,055万人で、ストックホルム県(Stockholms län)の人口は、約245万人です。ストックホルム県下には、26の市があり、ストックホルム市はそのうちの一つの市です。
(参考 : Statistikmyndigheten, Sveriges befolkning, https://www.scb.se/hitta-statistik/sverige-i-siffror/manniskorna-i-sverige/sveriges-befolkning/, 2024-02-22)
通貨
スウェーデンの通貨はKrona(クローナ)で通貨コードはSEK。krと表記されることも多いです。2024年6月27日現在、1クローナ=約15円です。
1995年に、スウェーデンはEUに加入しましたが、使われている通貨はユーロではなくクローナです。
キャッシュレス化が止まらないスウェーデンでは、現金が必要な場面がほとんどありません。子供のお小遣いでさえ、子供の口座に親が振り込みをする家庭も多いです。
現金お断りのお店も多いので、スウェーデン旅行の際には、カードを忘れずに持参してください。カードを使用する時には、4桁の暗証番号の入力を求められるので、暗証番号も忘れないでいてください
尚、日本でよく使われているJCBカードは、ストックホルムで使えるお店は、私が知る限り見たことがありません。お店にもよりますが、Visa, Masterなら大体大丈夫だと思います。
カードは2枚あった方が安心です。非接触型カードだと、タッチ決済ができて便利です。タッチ決済とは、クレジットカードを端末機にかざして決済を行うことです。
また、ストックホルムのバス、電車、トラムや一部フェリーもタッチ決済が行えます。乗車券を専用カードにチャージしたり、スマホアプリで乗車券を買わなくても、改札でカード(ICチップ入)をピッとタッチするだけで乗車できます。
以前は、有料トイレでコインが使えたのですが、いつの間にか有料トイレの支払い(5-10sek)まで、カード払いになっていました。
時差
スウェーデンと日本の時差は通常8時間です。スウェーデンは中央ヨーロッパ時間(CET)を使用していて、日本は日本標準時(JST)を使用しています。
スウェーデンでは夏時間(サマータイム)が導入されており、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日までの間は、時差が7時間になります。
日本からの直行便
現在のところ、日本からスウェーデンの直行便はないので、ヨーロッパの主要都市か中東を経由するのが一般的です。航空会社によりますが、大体の所要時間は16-19時間位です。東京→ヨーロッパ主要都市13-14時間、乗り継ぎ2-3時間、ヨーロッパ主要都市→ストックホルム 1-2時間、という計算です。
2024年7月22日に下記を追記
東京 羽田 (HND)= ストックホルム・アーランダ (ARN)の直行便の就航が発表されました。
販売開始 : 2024年7月22日(月)10:00(日本時間)
今回販売されるのは、2025年3月29日搭乗分まで
ストックホルム発は2025年1月31日より、週3日就航予定(火・金・日曜日)
詳しくはANAのホームページへ→ https://www.ana.co.jp/ja/jp/international/theme/newline-euro/?tabitem=asw-tab__item-box-2
言語は? 英語は通じる?
スウェーデンでは、スウェーデン語が公用語ですが、多くの国民が英語も話せます。
また、スウェーデンには少数派の言語も存在します。フィンランド語はスウェーデンの一部地域、特にフィンランドと接する地方で話されています。その他にも、少数民族のサーメ人が話すサーメ語もあります。
スウェーデンは多文化社会であるため、英語も広く通じます。特に若い世代や都市部では英語を話すことが一般的で、多くの人が第二言語として流暢に話します。
スウェーデン語のあいさつ
絶対に覚えておきたいスウェーデン語は下記の3つです。
Hej(ヘイ)=こんにちは
Hejdå (ヘイドー)=さようなら、バイバイ
Tack(タック)=ありがとう
別ページでもう少し詳しく説明しています
酒屋の開店時間にご注意!
Systembolagetは、スウェーデンの政府所有の酒類専売会社であり、アルコール飲料の販売を独占しています。平たくいうと、国営酒屋です。
20歳以上でお酒を購入できますが、日本人は若くみられるのか、30代や40代でも身分証の提示を求められた話をよく聞くので、念の為パスポートなどの身分証を持っていきましょう。
Systembolagetの営業時間は、スウェーデン全土で大体共通ですが、地域や店舗によって若干の違いがある時もあります。一般的な営業時間は以下の通りです。
- 平日(月曜から金曜): 10:00 から 19:00 まで
- 土曜日: 10:00 から 15:00 まで
- 日曜日と祝日: 休業
- 各店舗の営業時間は、Systembolagetのホームページから確認してください。
url: https://www.systembolaget.se/
土曜日の15時以降と日曜日・祝日は休業しているので、気をつけてください。「週末にお酒を買ってホテルの部屋で飲もうとしたけれど、酒屋が開いていなかった」という悲劇が起こらない様に。
尚、アルコール度数が低いお酒(度数が 3.5 %以下のビール)は、スーパーなどの食料品店で購入できます。
ストックホルムについて
ストックホルムはスウェーデンの首都で、14の島々から成る美しい水の都です。ガムラ・スタン(旧市街)では、中世の街並みと王宮が迎えてくれます。美術館、スカンセン野外博物館、ヴァーサ号博物館、ノーベル賞博物館、ドロットニング宮殿、心地よいカフェやデザインショップが点在し、北欧文化を堪能できます。
都会でありながら、自然も多く、緑豊かな公園もたくさんあり、街歩きをするだけでも楽しい都市です。
水辺を巡るクルーズや群島への旅もおすすめです。四季折々の風景が魅力的なストックホルムは、おすすめの場所で溢れています。
天気と服装
1年間の天気の流れを、人々の気持ちを織り交ぜながら、4月から説明をスタートします。
4-5月
日本の4月はあたたかい春だと思いますが、ストックホルムの4月はコートが手放せず、雪が降ることも珍しくありません。4月下旬から5月上旬に桜が咲いて、やっとコートをしまえるかなという感じです。5月下旬になると、緑が増えてきて春っぽいなと感じます。
6月と7月
6月と7月は最高の季節で、花が咲き乱れ、木々の緑は眩しく、素敵な青空が広がり、「ここは天国なのかな?」と錯覚するほど素敵な毎日です。
ストックホルムの7月の平均気温は最高で22℃くらい、夏でも20℃を下回る日もあり過ごしやすいです。
ただ、年によっては突然30℃前後の日が続くこともあります。クーラーがない家も多いので、突然暑くなった夏は、扇風機や移動式クーラーが飛ぶように売れたりします。
公共交通機関も冷房がついてないことも多いので、暑い夏は汗ダラダラで電車やバスに乗っています。それでも朝晩はしっかり冷えるので、夏の旅行でも長袖や羽織りものは必ず持参してください。
8月&9月
8月半ばからだんだん肌寒くなり、9月は長袖が必須となりますが、ぎりぎり青空が広がっているので精神的には落ち着いています。
10月&11月
10月は暗さを感じ始め、年によってはコートが必要になる時もあります。
11月になると午後3時から4時には真っ暗になってくるので、人々の顔から笑顔が消え始めます。11月のストックホルムの最高平均気温は5℃前後なので、暗い上に寒さも手伝ってどんよりした空気が流れます。
12月
12月になると、寒さはいっそう厳しくなりますが、街がクリスマスのイルミネーションに包まれますので、とても綺麗です。12月の朝の気温はマイナス4℃前後ですが、家中が暖かいので「寒くて起きられない」ということはありません。
ストックホルムは北部に比べて暖かい方ですし、雪もあまり積もりませんが、たまにマイナス10℃前後になるときもあります。
1月&2月
1月と2月も相変わらず寒いのですが、マイナスの気温が続くと、たまに0℃になった時に、「今日は暖かいね」と言い合うほど感覚が狂ってきます。冬は手袋、ニット帽、冬用のブーツ、マフラーやストール必須です。
3月
3月も寒いのですが、だんだん日が長くなってくるので、気持ちは明るくなってきます。
こんな感じで1年が過ぎていきます。そして、毎年天気がコロコロ変わるので(猛暑か冷夏か、等)、スウェーデン人は天気の話が大好きですし、いつも天気のことを気にしています。私も、スウェーデンに住んで天気が気になるようになりました。
月 | 服装の目安 |
4月 | 冬の対策と同じですが、耳当て、カイロ、コートの下の薄いダウンジャケットはそろそろいらないかな、という感じ。そして、油断してコートをしまった時に限って雪が降る、という悲劇も起こります。 |
5月 | 5月上旬はコートが必要だったりいらなかったり。雪が降ったり降らなかったり。年によって全く違うので、天気予報のチェックが欠かせません。 5月下旬は突然あたたかくなり、春っぽくなります。1週間でジェットコースターのように天気が変わるのが5月。 |
6-8 月上旬 | 半袖、サンダル、日差しが強いので帽子、サングラス、朝晩寒いので長袖。 |
8月下旬-9月 | 半袖でも良いが、日中でも長袖が必要な日が増え、サンダルだと寒く感じ始めるので靴かスニーカー。さらに羽織るものが必要、スカーフで首を温めるだけでだいぶ違います。 |
10月 | 年によっては10月上旬でコートが必要なことも。長袖必須。靴はまだ冬用ブーツではなくスニーカーでもいけそう。 |
11-12月と1-3月(冬) | 防寒対策が必要。 セーターの下にさらに暖かい肌着の上下。 コートの下にさらにユニクロの薄いダウンジャケットを仕込む。 冬用のコート(コートは腰が完全に隠れて膝に届く様な、丈の長いもの) 手袋(厚手のもの) ニット帽(寒さで耳が痛いので、耳までしっかり隠れると良い) マフラーやストール ウインターブーツ、中がボアか暖かい中敷きを入れるとさらに良い。道が滑るので、靴底がツルツルではなく、ギザギザしたものがおすすめ。 耳当てをしたり背中にカイロを貼るなどの対策も良い。 |
服装の結論は、基本的には上記の対策で良いのですが、コロコロと天気や気温が変わるので、こまめに天気予報をチェックすることをお勧めします。
交通について : 便利な交通アプリ
ストックホルムの公共交通機関はバス、地下鉄(Tunnelbana)、トラム、通勤電車(Pendeltåg)、フェリーがあり、SL(Storstockholms Lokaltrafik)が運営しています。
シングルチケットは大人42クローナで75分乗車できます。区間で購入するのではなく、時間で購入します。75分以内でしたら、地下鉄、バス、S Lのフェリーなどを組み合わせて乗ることもできます。
26クローナのディスカウントチケットは、20歳以下、65歳以上、学生が購入できます。ディスカウントチケットで乗車した場合は、乗車中に乗車券チェックの職員が回ってきた時に、身分証の提示が必要です(学生だったら学生証)。
チケットはSLアプリで購入できます。以前は、駅の自動券売機で購入できたのですが、現在は使用できません。
また、非接触型(ICチップ入り)のクレジットカードがあれば、改札でカードをタッチするだけで入場できます。クレジットカードから、自動的に乗車券代が引き落とされる仕組みです。
これはとても便利なのですが、残り時間がわからないのが難点です。SLアプリで乗車券を買った場合は、アプリで残り時間が見れるのでとても便利です。
アーランダ空港からストックホルム市内へ
会社名 | 所要時間 | 経路 | 料金 | HP | |
電車 | アーランダエクスプレス | 18分 | 空港から中央駅まで | 大人往復640クローナ | リンク |
空港から市内各所行きのバス | Vy flygbussarna | 行き先による | 空港からセントラルホテルまで | 大人往復209-269クローナ程度(行き先や割引による) | リンク |
タクシー | Taxistockholm | 約35分 | 空港から市内中心部 | 固定料金で750クローナ(普通車):深夜料金は別。 | リンク |
タクシー | Uber | 約35分 | 空港から市内中心部 | 行き先によりますが、タクシーよりは安いです。 | リンク |
SLのバスや電車を乗り継いでストックホルム市内まで行くこともできますが、はじめての方にはハードルが高いと思って記載していません。
そして、料金が頻繁に変わっている印象があるので、大人料金以外の詳しい料金も記載していません。アーランダエクスプレスや空港バスでは、グループ割引、平日の二人割引、突発の割引キャンペーンなど、色々なプランが生まれては消えていくので、ホームページやアプリで料金をチェックしてみてください。
また、空港から市内への行き方は長くなるので、別記事にしたいと思います。
治安
ストックホルムは、旅行者にとって比較的安全な都市だと思います。私自身、ストックホルムで怖い思いをしたことは一度もありませんし、観光地や中心部では、安心して観光できます。
とはいえ、スリや置き引きなどの軽犯罪には注意が必要です。混雑する場所や公共交通機関では、貴重品をしっかり守りましょう。
そのほかに気をつけたいのは以下の3つです。基本的な防犯対策ですが、日本にいる時と同じ感覚でいて悲しい思いをしませんように。
- スマホやバッグで席取りをして注文しに行かない
- 電車内で寝ない
- 貴重品はホテルのセーフティボックスに入れておく
・尚、外務省のたびレジに登録しておくと、安全情報がメールで届きます。
外務省たびレジのリンク
・万が一、パスポートを盗まれたり紛失してしまったら、在スウェーデン日本大使館に連絡しましょう。
在スウェーデン日本大使館 : パスポート紛失時の連絡先
夜間は一部の郊外地域を避けることをお勧めしますが、ガイドブックに載っているエリアならまず大丈夫でしょう。心配しすぎず、かと言って油断もせずに、旅行を楽しみましょう。
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