諸聖人の日の週末には、亡くなった大切な人を思い出すために多くの人がストックホルムの森の墓地(Skogskyrkogården)を訪れます。
諸聖人の日は亡くなった人々を偲ぶ日で、今年(2024年)は11月1日から3日間。
この期間中、特に11月2日(土)には普段は閉ざされている5つの礼拝堂がすべて開放され、大切な人との思い出を振り返る貴重な時間を過ごせました。
今回は、森の墓地での諸聖人の日の記録をお伝えします。
諸聖人の日(Allhelgonahelgen)とは?
諸聖人の日(Allhelgonahelgen)は、10月31日から11月6日の間の土曜日に祝われ、すべての聖人と亡くなった人々を偲ぶ日です。
翌日の日曜日は諸魂の日(Alla själars dag)となり、亡くなった親しい人々を追悼します。人々は教会に集ったり、墓地でろうそくを灯して故人に思いを馳せます。
諸聖人の日と諸魂の日の2日間は、聖人と故人への敬意を込めた祈りと感謝の時となっています。
1つ目の礼拝堂:Heliga korsets kapell
森の墓地は信者であるかどうかは関係なくすべての人を受け入れてくれるので、大切な人を偲んで礼拝堂を訪れてみましょう。
私が訪れた時には、G線上のアリア(Air on G String)が流れていて荘厳な雰囲気でした。
Heliga korsets kapellhaは、グンナール アスプルンドによって設計され、1940 年に竣工しました。アスプルンドはストックホルム市立図書館を設計したことでも有名ですよ。
2つ目の礼拝堂:Trons kapell
Trons kapellもグンナール・アスプルンドによって設計され、1940 年に竣工しました。
3つ目の礼拝堂:Hoppets kapell
Hoppets kapellもグンナール アスプルンドによって設計され、1940 年に竣工しました。
大理石のモザイク画はOtte Sköldによるものです。
4つ目の礼拝堂:Skogskapellet
森の礼拝堂(Skogskapellet)もグンナール・アスプルンドによって設計され、1920 年に竣工しました。
アスプルンドが新婚旅行先であるデンマークの環境からインスピレーションを受けて完成したのが、この木造の礼拝堂といわれています。
森の礼拝堂の屋根にはCarl Milles の死の天使(Dödsängel)の像が置かれていて、完成当時は挑発的だと物議を醸しました。
森の礼拝堂の中には円形のドームがあり、間接光が差し込んでいます。
5つ目の礼拝堂:Uppståndelsekapellet
復活の礼拝堂(Uppståndelsekapellet)はSigurd Lewerentzによって設計され、 1925 年に竣工しました。5つの礼拝堂の中で唯一アスプルンドの設計ではないですね。
オルガンは高い位置に隠されていて、音楽が会葬者に降り注ぐように工夫されています。
全ての礼拝堂は控えめながら細部にこだわって造られており、静かに死者を見送りたいという強い意志を感じました。
森の墓地
諸聖人の日は多くの人が墓地を訪れ、墓前にキャンドルを灯して故人を偲びます。
日が暮れると、暗闇にキャンドルの光が輝いて幻想的な雰囲気になります。この時期の日没後はとても寒いので、しっかり防寒して出かけてください。
一つ一つのお墓は、どこかの誰かの大切な人が生きた証。そう考えると、お墓は怖い物ではなく残された人の心の拠り所でもあるのだと思いました。
私の亡くなった家族は遠く日本で眠っていて、ここには眠っていないのですが、瞑想の丘で静かに故人に想いを馳せました。
たくさんのキャンドルのゆらめきに癒されました。
ビジターセンター
ビジターセンターには、カフェ、ショップ、森の墓地に関する紹介室やトイレがあります。
11月初旬の森の墓地はとても寒いので(この時は6℃)、ビジターセンターでコーヒーを飲んで温まりましょう。トイレは建物の外まで長い行列ができていました。
諸聖人の週末のビジターセンターは特別な営業時間でオープンしています。
近くのベーカリー:Bageri Kompass
ところで森の墓地がある地下鉄のSkogskyrkogården駅の目の前に、ベーカリーBageri Kompassがあります。
普段の土曜日は15時閉店だそうですが、諸聖人の週末は営業時間を延長しているそうです。今回初めて寄ってみましたが、道路沿いにあるのに入り口が見つからなくて大変でした。
全部のパンが美味しそうだったのだけど、定番のシナモンロールとカルダモンロールを購入。
店員さんに「パンの写真を撮っていいですか?」と聞いたら、「もちろん!でも聞かないで勝手に撮っちゃっていいよ。」ってことでした。
森の墓地の周辺と屋台
森の墓地は普段は静かなのですが、この日は人でごった返していました。スウェーデンではなかなか見ない人混みです。特に駅周辺。
お花やキャンドルは駅前のお店で買えます。チャッカマンかマッチを持参するのをおすすめします。
最寄り駅は大混雑
最寄の地下鉄Skogskyrkogården駅は人で溢れかえって、入場規制がかかっていました。次々と到着する地下鉄から降車する人の波で駅構内へ入れません。
でも10分ほど歩いて隣のSandsborg駅まで行けば人が少ないので、一駅歩くことをおすすめします。
家族とお喋りしながらあっという間に隣のSandsborg駅に着きました。
森の墓地:諸聖人の日のインフォメーション
公式サイトによると、「年明けから建物の改修工事のため閉鎖され、工事は約2年間続く予定。その後、礼拝堂へのアクセスはできなくなる予定です。」とのことでした。
あくまでも「予定です」と書かれていたので今後どうなるか不明ですが、また新しい情報がありましたらお知らせします。
住所 : Sockenvägen, Stockholm
地図 : Googleマップで見る
HP : https://skogskyrkogarden.stockholm/
※SL(ストックホルムの公共交通機関)は臨時バスを配備しています。詳しくは、SLの公式サイトで確認してください。
※墓地内では、土曜日と日曜日に 183 番バスが運行されています。
※日没後、暗くなってから訪問する予定なら懐中電灯を持参することをおすすめします。スマホのライトでも十分かと思いますが、その場合充電器があると安心ですね。
さいごに
こうしてみると、日本のお盆みたいですよね。年に一回、故人を想ってお墓に集まり静かな時間を過ごすのは、日本もスウェーデンも変わらないのですね。
とはいえ大切な人を亡くした場合、年に一回どころか折に触れて想い出すわけですが。
ストックホルム訪問と諸聖人の日が重なったらここを訪れてみて、あなたの大切な故人を想い出してみてください。
また、観光イベントではないので、遺族や関係者の方々に敬意を払いながら静かに訪問しましょう。
普段の森の墓地の様子はこちらの記事から!
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