遠くからも目に付くピンク色の外壁のストックホルム大聖堂。魔女の宅急便に出てきそうな可愛いらしい教会です。ところが中に入ると、外観とは裏腹に重厚感漂う内装が広がっていました。
教会内の彫刻、絵画、モニュメントの数々から歴史をヒシヒシと感じます。ここはストックホルム最古の教会なのです。今日は、このストックホルム大聖堂をすみずみまで探索してみたいと思います。
ピンク色の外観
魔女の宅急便で、塔の時計の針にぶら下がって落ちそうになっているトンボが、キキに助けてもらったあの時計みたいじゃない?って思いませんか?
ところで、ストックホルム大聖堂についてですが、大聖堂の最も古い部分は 13 世紀のものです。そして、何度も改修や拡張が行われて、今の姿になっています。王室の行事の場所としても重要で、何世紀にもわたって王族が戴冠し、特別なイベントがここで行われてきました。
大聖堂の内部
ピンクが好きな可愛いお嬢さんだと思ったら、意外と芯がしっかりした格好いい女性だった、というのが大聖堂に入って最初の印象。ユニークな銀の祭壇があり、荘厳な雰囲気でした。
黒の祭壇の周りをカーテンが覆っているのかと思ったら、絵だったのが面白いと思います。
ドラゴンと戦う聖ジョージ
ストックホルム大聖堂でじっくり見ておきたいのは、1489 年に完成した、聖ジョージとドラゴン(Sankt Göran och draken)の木製彫刻です。500年以上前の彫刻が、こんなに良い保存状態で残っていることにまず驚きます。
彫刻で馬に乗っている聖ジョージとは、キリスト教の聖人で、ドラゴンに脅かされた町や王女を救うため、ドラゴンと戦って倒した、という伝説があります。
これにより、町は解放され聖ジョージは英雄として讃えられ、キリスト教の聖人としても崇められるようになったそうです。また、「善が悪に勝つ象徴」や「勇気の象徴」としても広く知られています。
聖ジョージの視線の先には十字架にかけられたキリストがいます。最後の一撃の瞬間、彼はドラゴンではなくキリストを見上げています。中世では、悪を倒すために神の力が必要だったことを表しているとのこと。
聖ジョージとドランゴの足元には、柵に閉じ込められた人々がいます。解説には書かれていませんでしたが、私には、ドラゴンに脅かされた町民たちの様に見えました。
ヴィクトリア王太子 の結婚式
2010年6月19日には、スウェーデンのヴィクトリア王太子と元フィットネストレーナーダニエル・ウェストリングさんの結婚式が、ストックホルム大聖堂で行われました。ヴィクトリア王太子は、次のスウェーデン女王となる方です。
おとぎ話の結婚式のように見えますが、2人にはいろいろな問題がありました。ダニエルさんは一般市民だったので、王室の決まりを守るために、たくさんの話し合いが必要でした。ヴィクトリア王太子が初めてダニエルさん(現ダニエル王子)をカール国王に紹介しようとした時には、難色を示されたと言われています。
現在は2人のお子様に恵まれて、幸せそうなヴィクトリア王太子なので、本当に良かったです。
必見の美しい天井
ストックホルム大聖堂で、是非とも見て欲しいのは、リブヴォールトの美しい天井です。リブヴォールトとは、アーチ形の天井の建築様式のことです。
天井画も素敵なので、首をグイッと上に向けてぜひぜひご覧ください。
王室の席
王室の席。頭上で天使が王冠を持っています。木材で作られ金箔で装飾されていると言いますが、ドレープの自然な感じが、木材とは思えない素晴らしい仕上がり。
最後の審判
スウェーデンの宮廷画家だった、David Klöcker Ehrenstrahlが描いた最後の審判。最後の審判といえばミケランジェロですが、2つの最後の審判を比べてみるのも楽しそう。
ミケランジェロの最後の審判は青ベースですが、Ehrenstrahlの描いたものは暗めで、スウェーデンの暗い冬を思い出させられました。
鼻を潰された理由
横たわっているのは、Lasse Skytte(1575年産まれ)とその妻です。Lasseはウプサラ城の総督やストックホルムの副知事を務め裕福でした。
彼の遺言により、遺産は貧しい人のために寄付されましたが、それを不満に思った親族の相続人に、像の鼻を切り落とされてしまいました。死後でもいいから屈辱を与えたいと思った様です。
遺産相続問題って昔からあったのだな、、、と、人間の本質の変わらなさにびっくりです。
貫禄の椅子
床の墓とがいこつ
かつては、教会内での埋葬は名誉なことで、教会は墓で埋め尽くされていましたが、19世紀にこの慣習が廃止されました。床に、普通に墓跡や墓石の様なものがあるので、お墓の上を歩いても良いのかどうか戸惑いました。
トイレ
毎度トイレの場所を説明していて恐縮ですが、入り口を入って右手に進むとトイレがありました。
ストックホルム大聖堂のインフォメーション
住所 : Trångsund 1, 111 29 Stockholm
地図 : Googleマップで見る
HP : http://www.stockholmsdomkyrkoforsamling.se/?setgroup=6
可愛い外観とは裏腹に、大聖堂の中の彫刻、像、絵画、墓からは、歴史の重みを感じて圧倒されるばかりです。
情報が多すぎて、見学を終えて外に出た時はぐったりしていましたが、何百年も前の人間ドラマや、職人の手の込んだ像や絵画に触れて、「よし、自分もまたがんばるぞ!」と良い刺激をもらえました。
癒される大聖堂ではないですが、自分に喝を入れるために訪れるのは良いでしょう。
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