ストックホルムのスウェーデン国立美術館

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ガムラスタンとその周辺 : Gamla Stan

スウェーデン国立美術館は、ストックホルムにある主要な美術館の一つです。

1866年に開館し、約 16,000 点の絵画、彫刻、素描、約 500,000 点の版画と図面、装飾芸術(ガラス、貴金属、家具)、約 45,000 点のグスタフスベリのコレクションなど、膨大な作品を所蔵しています。

特に16世紀から20世紀初頭のヨーロッパの名作が充実していて、レンブラント、ルーベンス、ルノワール、ゴヤなどの作品を観賞できます。また、カフェやミュージアムショップも併設されているので、一日中楽しめると思います。

今回は、スウェーデン国立美術館の内部、建物、各部屋の色の意味、作品の一部、カフェ、ミュージアムショップなどを紹介します。

王宮から徒歩12分のアクセス

人気の観光地ガムラ・スタン(旧市街)からStrömbron橋を渡り、グランドホテルを横目に歩いて行くと国立美術館に着きます。

ガムラ・スタンの王宮から徒歩12分ほどなので、お散歩がてら歩くのも良いですし、The・水の都ストックホルムといった、行き交うフェリーや景色を眺めながら歩くのも最高です。

スウェーデン国立美術館の入り口

エントランスからすでに素晴らしい

美しいガラス工芸品や家具など、装飾芸術のコレクション

スペインのライティングスタンド(1550-1600年)と、Sgabelloと呼ばれるイタリアルネッサンスの典型的な椅子
デンマークのデザイナーKay Bojesen(1886-1958)作のモンキーがいます

部屋の色の意味

ユニークなのが、年代毎に部屋の色を変えていることです。他の美術館はどうなっているのでしょう?とにかく、作品が1番綺麗に見えるように工夫しているのですね。

年代毎の部屋の色を、下記にまとめまてみました。

今回紹介している絵画がどの年代か、背後の壁の色でわかるので、色の効果による絵の見え方を現地で感じてみてください。

16世紀えんじ色
17世紀濃い青灰色レンブラントの様な絵を引き立てる効果
18世紀緑、赤、黄、ピンク美術品や工芸品が引き立て合う様な色
1800-1870年明るい黄色
1897年薄むらさき色
1870-1910年ターコイズ色
1900年以降グレーベージュ

(参考 : Nationalmuseum, Färgad av originalet – om väggarnas kulörer, https://www.nationalmuseum.se/utforska-konst-och-design/mer-att-uppt%C3%A4cka/f%C3%A4rgad-av-originalet )

作品紹介

国立美術館の膨大なコレクションの中の一部を紹介します。

タペストリー「ヴァスコ・ダ・ガマの帰還」

タペストリーの後の壁がえんじ色なので、16世紀の部屋にあることがわかります

タイトル : Tapestry, “The return of Vasco da Gama”
デザインと製作 : ジャン・グルニエ デザインとアルヌール・ポワソニエ
製作年 : 年代1500 – 1530年

タペストリーはかつて最も高価なものでした。1400-1500年代に制作されたものが最高の芸術品質と言われています。また、タペストリーの様な織物は、所有者の権力と富の象徴とされていました。

16世紀に作られたこのタペストリーは、ヨーロッパとインドを結ぶ航路を発見したヴァスコ ダ ガマ が描かれています。

タペストリーには、キリン、音楽家、兵士、貴婦人によるパレードが描かれています。右側のひげを生やし、槍を持った男性が、おそらくヴァスコ ダ ガマだと言われています。

パリのオテル・デュー病院の火災

作品には、赤ちゃんを抱いて逃げ惑う女性の姿が生々しく描かれています。

ロベールはパリを描く際に、火事などの破壊的な瞬間に焦点をあてることが多かったそうです。

タイトル : The Fire of Hôtel-Dieu in Paris 1772
作者 : Hubert Robert(1733-1808)
制作 : 1772年

ある夜、オテル・デュー病院が火事で全焼しました。そこで、この絵の作者のロベールは、急いで現場に駆けつけ、目撃者の証言を集め、その時の様子を絵に描きました。

絵の中で、火事の向こうに描かれているのは、ノートルダムの塔です。

王室の食事の描写

タイトル : Repas public, Le Jour de l’An 1779
作者 : スウェーデン人のペール・ヒレストレム(Pehr Hilleström)
制作 : 1779年

グスタフ3世が王宮で食事をしている様が描かれていて、18 世紀のスウェーデンの王室の食事描写として知られている唯一のものです。

背景に見える絵画は、レアンドロ・バッサーノの絵画「アントニウスとクレオパトラの饗宴」。テーブルには国王と王妃、そして王族が着席し、起立しているのは宮廷と外交団です。背を向けているのは、宮内長官です。

マリー・アントワネット王妃と子供たち

マリー・アントワネットと子供達
マリー・アントワネットの絵が飾られている部屋

タイトル : プチ・トリアノン公園にいるマリー・アントワネット王妃と子供たち(Queen Marie-Antoinette and her Children in the Park of Petit Trianon)
作者 : Adolf Ulrik Wertmüller
制作 : 1785年

18世紀、スウェーデンの芸術家たちはパリで学びました。その中で最も成功したのはアレクサンダー・ロスリンです。そして、ロスリンの弟子、ヴェルトミュラー(Wertmüller)は、グスタフ3世の仲介でマリー・アントワネットの肖像画を描きました。

しかし、この絵の評判は悪く、ヴェルトミュラーは中傷によりパリを離れ、アメリカで農家になりました。

ジョセフ デュクルーの自画像 : 沈黙と地上の驚き

タイトル : Le Silence(写真左)、La Surprise en terreur(写真右)
作者 : ジョセフ デュクルー(Joseph Ducreux、1735-1802)
制作 : 1790年代

ルノワールの La Grenouillère

タイトル : La Grenouillère
作者 : オーギュスト・ルノワール(Auguste Renoir)
制作 : 1869年

タイトルである「La Grenouillère」は、パリ郊外にある人気のレクリエーション場所でした。

1869年の秋にオーギュスト・ルノワールとクロード・モネは、ここで数日間を過ごし、いくつかの絵を描きました。それらは、同じ主題でありながら異なる視点で描かれています。

クロード・モネが描いたGrenouillèreは、アメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されているので、モネバージョンの絵も見てみたいですね。

スウェーデン国王カール12世の葬送

タイトル : Bringing Home the Body of King Karl XII of Sweden
作者 : Gustaf Cederström
制作 : 1884年

この絵は、雪に覆われた山の壮大な風景をパノラマビューで描いたものです。地平線に向かって、軍隊の列が蛇行しながら続いています。兵士たちの制服と武器は正確に描かれていますが、他の場面は作者の想像力の賜物です。

カール12世の遺体は、馬車に載せられた棺で運ばれています。

レンブラント

タイトル :
作者 : レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn)
制作 : 1661-1662年

巨匠レンブラントの作品で、ローマに対する反乱で指導者に忠誠を誓うバタヴィア人の感動的な場面を描いています。暗い色調と劇的な光の効果が特徴です。

カール・ラーションの世界

タイトル : From a Home
作者 : カール・ラーション(Carl Larsson、1853-1919)
制作 : 1895年

カール・ラーションはスウェーデンの画家であり、家庭的なシーンや風景画で有名です。ラーションの最も有名な作品は、妻カリンと子供たちとの生活を描いた一連の水彩画で、これらは彼の著書「家(Ett Hem)」に収録されています。

ラーションの作品からは、温かさと親密さが伝わってきて、当時のスウェーデンの家庭生活をうかがい知れます。

特別展 : 皆川明&ミナ ペルホネン 2024年2月22日~8月18日まで

日本人デザイナー皆川明さんの特別展が、2024年8月18日まで開かれています。現在は終了しています。

皆川氏は、ファッションとテキスタイルのブランド「ミナ ペルホネン」の創設者兼チーフデザイナーです。ミナはフィンランド語で「私」、ペルホネンは「蝶」を意味するとのこと。

以前から、ミナ ペルホネンの作品は、フィンランドっぽいと感じていたのですが、今回の展示でミナ ペルホネンがフィンランド語だと知って納得しました。

この展示では、「デザイン=記憶 」を掲げて、様々な作品が展示されています。特に印象に残ったのは、生地作りの製作過程を追ったビデオ上映と、圧倒的な数のワンピースの展示です。

総柄のワンピースが多いのに派手になりすぎず、スッと街に溶け込み、且つ着ている人を引き立ててくれる素晴らしい服作りだと感じました。

子供のための展示室

エントランスフロアに子供の展示室があります。

残念ながら大人だけでは入れないのですが、お子様連れの方は是非足を運んでみてください。お子様1名につき大人1人入れます。ベビーカー置き場もここにありました。

ミュージアムショップ

ミュージアムショップでは、アート関連書籍、ポストカード、ポスター、アクセサリー、デザイン雑貨などが購入できます。また、特別展に関連した限定アイテムも取り揃えていました。

写真、美術工芸、形態とデザイン、絵画と彫刻、デッサンとグラフィックに関する美術館の出版物などを購入できる本のオンラインショップもあります。

彫刻の中庭からカフェへ

彫刻の中庭の奥にカフェへの入り口があります。初めて行ったときは、秘密の扉を見つけたみたいでワクワクしました。

エントランスフロアにある彫刻の中庭
彫刻の中庭からカフェへの入り口

ちなみにレストランへの入り口は別にあって、エントランスを入って少し進んで左手に見えてきます。レストランでは上品なスウェーデン料理が食べられて、味も美味しいですよ。

こちらのカフェは天井が高くてさほど混雑することもなく、ゆったり過ごせるのでお気に入りです。

以前、カフェの列に並んでいたら、食事が終わって出ていく方が、「グリルチキンがおすすめ!もし軽く食べたいなら試してみて!」と言って通り過ぎていったので、今度機会があったら試してみようと思っています(その時は、ランチの後だったのでケーキを頼みました)。

半円形のソファ席がお気に入り。ソファの背が柱の中に半分収まるので、洞窟感があるのです。

入り口のエレベーター

美術館正面、向かって右側にエレベーターが’あります。透明のガラスドアです。

国立美術館のインフォメーション

名称 : Nationalmuseum
住所 : Södra Blasieholmshamnen 2, 111 48 Stockholm
地図 : Googleマップで見る
HP : https://www.nationalmuseum.se/en/ (英語)

入場料 :
大人160クローナ
20歳以下は入場無料
閉館前の最後の60分は80クローナ

入場無料エリア :
レストラン、ショップ、彫刻の中庭、子供向け展示場、スタジオ、エントランスフロアは入場無料(尚、子供展示場は子供 1 人につき付き添いの大人 1 名まで入場可能)

ガイド付ツアー(英語)もあります。詳しくはこちら

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