今年の夏に、なりゆきでスウェーデンの国会議事堂(Riksdagen)を見学しました。私は政治の話は得意ではないけれど、自分の生活に直結する大事なことなので、ニュースはチェックしますし、選挙にも必ず足を運びます。
国会議事堂を紹介することで政治を身近に感じる人が増えるといいなと思って、今回記事にしています。
政治に興味がある方もない方も、スウェーデンの国会ってどんな感じなの?という興味本位でも構わないので、ちょっと読んでいただけたらいいなと思います。
無料ガイドツアーを偶然発見
夏のある日、ガムラスタンでお昼を食べてからÅhlénsというデパートへ向かって歩いていた時に、とある看板を目にしました。普段は地下鉄を使うのですが、この日は天気が良かったのでぶらぶら歩いていたのです。
この辺は、グレタ・トゥーンベリさん(スウェーデンの環境活動家)が環境ストライキをしていた場所だなー、どの辺で座り込んでいたのかなー?なんて思いながら歩いていました。
すると、国会のガイドツアーの看板が目に飛び込んできたのです。
案内板をよく読むと、ガイドツアーは無料で事前予約の必要なし。定員は28名。言語は英語とスウェーデン語の回がある。時計を見たら次の英語ツアー開始は20分後。
これは行くしかないでしょう、ということで急遽列に並びました。
記事の最後にガイドツアーの詳細情報を載せています。
いざ、議事堂の中へ!
あれよあれよという間に国会議事堂の建物の中に入り、入ってすぐの階段を降りました。階段の先を進むと空港の様なセキュリティーチェックがありました。
安全上の理由から上着やコートはロッカーに預けること、ペットボトルなどの液体やベビーカーの持ち込みもできないとのことでした。
館内ではガイドさんが先頭に立って進み、ツアーの参加者が建物の別の場所へ勝手に移動しない様、最後部にはセキュリティの方が付きました。ツアーは和やかな雰囲気で進みましたが、警備は厳重です。
この日のガイドツアー参加者は10人位。まずはエレベーターで7階へ。
ガイドさんによると、「このフロアは議員は来ない所なので、皆さんはここからの景色が見られて良かったですね!」とのこと。また、この建物の周辺に政府機関が集まっています、とのことでした。
日本だと霞ヶ関や永田町といったエリア、ということでしょうか。
ガイドさんの説明
ガイドさんは2022年の選挙結果を見せながら説明をしてくれました。
現在、議会(Riksdag) には 4 年ごとに選出された349 人の議員がいて、8つの政党があります。
第1党は社会民主党(Socialdemokraterna)の107名、次にスウェーデン民主党(Sverigedemokraterna)の73名です。
次に議場(Kammaren)へ進みます。扇型にずらりと並んだ議席を見た瞬間、「おお!テレビで見る場所!」と、おのぼりさん丸出しに!
議席ですが、政党別ではなく選挙区毎に座るそうで、そこが面白いなと思いました。ちなみにストックホルム選挙区の議員は壇上に向かって右側に座っているとのこと。ゴットランドの人は2人だそうです。
壇上の左手に議員席を形どった情報ボードがあります。投票の際にランプが点灯し、緑はイエス、赤はノー、黄色は棄権とのこと。誰がどう回答したのかがはっきりと分かる様になっていました。
尚、女性に選挙権が与えられたのは1919年とのことで、思ったよりも遅いなと思いました。中央の壁に飾られた「風景の記憶」という大きな布絵は、54平方メートルもあるそうです。
ところで、ガイドツアーの参加者が「演台の青い壺はなんですか?」と質問したら、ガイドさんが「投票で使うことがあります。」と答えていました。
青い壺?
青い壺が全く見えなかったので必死に探したら、中央の議長席の斜め後ろにそれっぽい物がありました。結構目が悪いので、「あの人はこの距離からよく見えたなぁ。」と変なところに感心してしまいました。
これから行かれる方、ぜひ青い壺を探してみてください。
次に、ガイドさんに聞いた議会の傍聴ルールについてまとめてみました。
・誰でも傍聴できる
・予約不要
・お金もかからない
・写真を撮っても良いけどフラッシュはだめ
・拍手やヤジはだめ
・身分を明かさなくても良い(但し、公式HP ではIDの提示を求める場合もある、とあるので念の為持参するのが良いかも)
第二議場:Andrakammarsalen
さて、長い廊下を通って東側の建物へやってきました。大理石の上に濃い緑の絨毯が敷かれ、落ち着いた雰囲気のエリアです。
階段を降りた先に見えるドアは、国王が来られる際に使われるそうです。
続いて案内されたのが、第2議場(Andrakammarsalen)です。
東側にある第 1 議場と第 2 議場という 2 つの古い議場は、スウェーデンが 1971 年に一院制議会に移行するまで使用されていました。
現在は最大政党グループの会議室や委員会の公聴会として使用されています。
第 2 議場は、大きな八角形のホールで、天井には丸い窓とガラスのランタンがあります。アールヌーボーの要素を取り入れたバロック様式の木製インテリアも見どころです。
連絡通路へ:Sammanbindningsbanan
続いてやってきましたのは、連絡通路。通路といっても豪華なシャンデリアや絵画が並び豪華な雰囲気です。
現在はパーティーに使われているとか。また、議員達がFIKA(フィーカ) もするそうです。FIKAとは、お喋りをしながらコーヒーやお菓子をつまむというスウェーデンの習慣です。
対立する政党の議員同士が一緒にお茶しているとガイドさんが説明したら、参加者が「喧嘩にならないの?」と聞いて、それに対して「議会で意見が合わなくてもお互いをリスペクトしているから、一緒にお茶しますよ。」と答えていました。
日本だと自民党と民主党の議員が国会の後に仲良くお茶している感じでしょうか?想像がつかないですね。
現在のスウェーデンの国会議員はこちらで見られます
下の写真は、素晴らしく綺麗だった連絡通路の屋根。円の周りには、1904年当時の郡の紋章が描かれています。
委員会の部屋:Utskotten
スウェーデンの国会には、いくつかの委員会があります。委員会は「ミニ 議会」のようなもので現在の各委員会には17人います。
委員会は、簡単にいうと色々な問題について話し合うグループです。メンバーの人数は必ず奇数で、どの政党が何人入るかは、選挙で決まった議席数に反映されています。
つまり一番大きな政党が一番多くのメンバーを持っているのです。
各委員会には、扱う分野が多数あります。たとえば、軍事問題は最終的に国防委員会に持ち込まれる一方、医療に関する提案は社会委員会が担当しています。
委員会の話し合いの様子は非公開とされています。
この委員会の部屋で見学は終了です。大体60分くらいでした。ガイドさんにお礼を言ってお別れです。
今一度外観をおさらい
せっかくなので、国会の外観写真を撮ってきました。
国会の東側のRiksplanは芝生が広がっていて気持ちの良い空間です。
おまけ:ホームレス親子像
国会の目と鼻の先、Riksbron(橋)を渡ってすぐのところに、ホームレスきつねの像(Homeless Fox Statue)があります。なんとも悲しそうな目をしたきつね親子で、貧困問題を考えさせられる像です。
この像が、多くの重要な決定がなされる国会の近くに設置されているのが意義深いなと思います。
名称 : Homeless Fox Statue
住所 : 111 51 Stockholm
地図 : Googleマップで見る
HP : https://www.stockholmkonst.se/konst/hemlos-rav-laura-ford
Riksdagshusetのインフォメーション
住所 : Riksgatan 1, 100 12 Stockholm
地図 : Googleマップで見る
HP : https://www.riksdagen.se/
ガイドツアーの案内
言語:スウェーデン語または英語
料金:無料
時間:約55分
予約:必要なし(予約不可)
定員:28名
開催日程:
9月から6月の議会開催中は土日と特定の祝日のみ
夏の間は平日に開催
開催予定について詳しくはこちらのカレンダーから(英語)
ガイドツアーについて詳しくはこちらから(英語)
アクセシビリティについて:ガイドツアーが行われる場所はバリアフリーです、とのことでした。詳しくはこちらから(スウェーデン語)
さいごに
ガイドさんの言葉で1番印象に残ったのは、「The chamber is our weapon!」です。議会は我々の武器だ!という感じです。腕力ではなく議論で問題を解決していく意味だと受け取りました。
いつでもどこでも冷静で、そして徹底的に議論して決めるスウェーデン人らしい言葉だなと感じます。
スウェーデンの国会議事堂の中を見られるのは貴重な体験だと思いますので、お時間ありましたら是非どうぞ!
コメント
しろくまさん、こんにちは!国会議事堂見学、面白そうですね。バリアフリーとの情報をありがとうございます。ぜひ経験したいと思いました。😄
ところで、先日2泊3日で北海道へ行ってきました。移動に車いすのまま乗れるタクシーを利用しましたが、そういえば、ストックホルムのタクシー事情はどうなのかと気になりました。🚕
依然そちらへ行かれた方に伺ったところ「ウーバー」を使われていたということです。
何かお気づきのことがありましたら、教えていただけると嬉しいです。😅
私事ですが、YouTube動画が初めてアップされました。これ1本だけですが、よろしければご覧ください。リンクを貼らせていただきます。🤣
こんにちは。Youtubeに投稿なんてすごいですね!また、北海道は車椅子のまま乗れるタクシーがあるのですね。ストックホルムのタクシーで同じようなサービスがあるかどうか分かりかねますが、ストックホルムでメジャーなタクシー会社のリンクを記載しますので、こちらに問い合わせれば教えてくれるのではないかと思います。
↓
https://www.taxistockholm.se/en/
Uber(https://www.uber.com/se/en/)は便利で私もたまに使いますが、こちらも車椅子対応かどうかは不明です。良いタクシー会社が見つかりますように!
しろくまさん、情報をありがとうございます!
uberが便利なようですね、タクシーストックホルムも空港のお迎えなど予約できそうです。
ワクワクしてきました😄いろいろ楽しみながら調べてみます😄感謝です!
こんにちは。
もう少し調べてみましたが、Uber Wavという車いす対応車両の配車サービスがある様です。今まで全く知りませんでした。
https://www.uber.com/jp/ja/ride/uberwav/
私も色々知らなかった世界を知れて世界が広がりました。ありがとうございます。
しろくまさん、こんにちは!ありがとうございます!
すごいですねーやっぱりこんなサービスがあるなんて!😍
日本には介護タクシーというのがありますが、通常の料金のほかに「介護料金」というのが上乗せされて、かなり高額になってしまいます。
このUber Wavというサービスは料金も同じようです。とっても嬉しいです!🚕
お忙しいのに、調べていただいて本当にありがとうございます。ますますストックホルムでの毎日が楽しみになりました。日本はやっと涼しくなってきました🍂。そちらはもうかなり寒いのでしょうか?☃
こんにちは。別途で介護料金が必要だなんて知りませんでした。そしてUber Wavは別料金ではないのですね、それは良かったですね!こちらは朝は5度前後、日中は13から14度くらいで私はちょうど良いですが、周囲は寒がっています。